第12章 標的12 体育祭
「開始!!!」
棒の頂点に自分達の大将をのせた両チームは、合図により叫びながら駆け出した。
数で勝っているB・C連合チーム、団結力で勝っているAチームがそれぞれ激突する。
それは軍の戦いのような激しさだった。
「もうきたか……!」
綱吉は 自分を頂点から引き摺り下ろそうと登ってきた敵チームを見て舌打ちする。
とうとう敵に足を掴まれてしまうが、お得意の笑みで反撃した。
「……手、離せよ」
「ひぃ!? す、すみません……!」
魔王綱吉の降臨に敵が怯えてぱっと手を離したところを すかさず獄寺が足で蹴落とす。
「大丈夫スか10代目!!」
「ああ、平気だ」
「しかしまいったな! 頭数が多すぎる」
「ちい! はなさんか!! 攻めるにも これではラチがあかん!」
運動部である山本や了平も、敵のあまりの多さに手間取っているようだ。
苦戦を強いられている己の仲間を見て、綱吉は大将自ら行動に出た。
ゴッ!!
戦場に生々しい音が響く。
両チームは何事かと思い、音の方へ視線を向けると―――綱吉が敵チームを踏みつけながら闊歩しているところだった。
当然 踏まれた者は綱吉を鋭く睨み付けるが、当人は相変わらず 爽やかに微笑む。
「ああ、すみません。踏みます」
踏んでから言うな
敵チーム一同(雲雀除く)心底そう思った。
綱吉は軽やかなステップで敵チームの上をぴょんぴょん飛び移り、雲雀との距離を縮めていく。
「人の上を飛び移ってやがる」
「そっか…総大将は地面につきさえしなけりゃいいんだ」
「なるほど」
「そういうことなら」
敵チームの会話を聞いて、了平・獄寺・山本の3名は何かいい案を思いついたのだろう。
「こっちだツナ!」
「おう!!」
山本に呼ばれ綱吉は3人のもとへ移動しようと、ある生徒の上に飛び移った時、
悲劇は起こった。
ツルッ
その生徒は キレイさっぱり何もない、『丸坊主』だった。
あろうことか綱吉はそのつるつるの頭に足を滑らせてしまう。
そして、
べしゃ
落ちた。
試合終了ーーー!!!