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青薔薇姫《家庭教師ヒットマンREBORN!》

第12章 標的12 体育祭


「男は診ない」と主張するあの保険医が 自分達を入れてくれるとは思わなかったが、あれだけ頑張った獄寺を そこらへんに転がすわけにもいかないので、山本は とりあえず保健室に行くだけ行ってみることにした。


「獄寺、早く起きろよなー。綾里が心配すんぞ」

獄寺が眠るベッドの傍らで山本は椅子に座りながら、少年の頬をペシペシ叩く。
しかし獄寺の眉が少し歪んだだけで一向に起きる気配がない。
山本は苦笑しながら、それでも辛抱強く獄寺の目覚めを待つことにした。
別に獄寺は病気や怪我をしている訳ではないので、彼を寝かせたまま自分だけ出て行くことはできるのだが、
もしこのまま眠り続けて あれだけ練習した『棒倒し』が参加できずに終わっていた、なんてことになったら自分だったらショックを受ける。
昨日の川原での練習では 初めこそ悪ふざけして綱吉を川に落としてしまったが、あの後ちゃんと皆で真剣に練習した。
恋焦がれる相手をもつ者にとって、今回の棒倒しは男の見せ場だろう。
山本は練習したメンバーが1人も欠けることなく出場したいと思っている。
なので本当に獄寺が起きないようだったら 自分の宣言通り本気で 『叩き起こす』 つもりだ。

「……しっかし、保健室に入れるなんて奇跡だよなー」

手を頭の後ろで組みながら、山本はチラリと隣のベッドに視線を向けた。
そこにはこの部屋の主が 目を回していた―――見たところ急所を一撃されたと思われる。
もちろん、入りたいからといって山本がやったのではない。
自分達が来た時には既にこの男―――シャマルは倒れていたのだ。
まあ そのお陰で自分達はこうしてここにいられるのだが……何やら妙に嫌な予感がする。

と、その時、獄寺のズボンから電子音が聞こえた。
山本は不思議に思って音の正体を取り出す―――インカムだった。
適当にボタンを押すと一瞬ジジッとノイズが聞こえる。次に聞こえてきたのはリボーンの声だった。
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