第12章 標的12 体育祭
シーン……―――
今度こそ本当に色んな意味で周囲は言葉を失った。
それは雲雀も例外ではなかったようで、綾里の予想外の言葉に目を見開いて驚いている。
さっきまで真っ赤だった綾里の顔は瞬時にサーーーと青ざめた。
「ご、ごめんなさい……っ、本当は 『恭弥さんの腕章を貸してください』 って言おうとしたんです……!(なんて失礼なこと言っちゃったんだろう、恭弥さんは物じゃないのに……っ!)」
綾里が頭を下げて一生懸命 謝った。
すると雲雀の手が綾里へと伸びる。
綾里は反射的にビクッと震えた。
ギュッ
「へっ!?」
感じたのは 怒りの痛みでもなく、拒絶でもなく。
雲雀の熱い抱擁だった。