• テキストサイズ

青薔薇姫《家庭教師ヒットマンREBORN!》

第12章 標的12 体育祭


黒の学ランを風になびかせながら、まるでタイミングを計ったように登場する雲雀。
最早 体育際どころではない。
生徒達や教師陣でさえ恐怖で怯え、さっと左右にわかれて彼が通る道をつくった。

雲雀は他の者達には目もくれず 一直線に綾里の元へ歩み寄る。
まさか本当に来てくれるとは思っていなかったのだろう、驚いたように ぽかんと口を開けて固まっている綾里見て、雲雀はクスクスと面白そうに笑みを零した。

「恭弥さん、風紀の仕事があるんじゃ……」
「綾里に呼ばれたからね、特別だよ。大丈夫、心配しなくても書類の山は全部 草壁に放り投げてきたから」
(草壁さーーーん!!)

綱吉が心の中で叫んだ。

「そんなことより綾里。僕に何か頼みたいことがあるんじゃない? 言ってごらん」

低く甘い声で問いかける雲雀。

(ん……!?)

綱吉は違和感を感じた。
雲雀の口ぶりはまるで 自分がどうして呼ばれたか知っているみたいだ。
よくよく考えてみれば 綾里が引いたクジだけ 特定の人物の事が書かれていたし、雲雀がタイミングよく現れたのもなんか怪しい。

まさか……!

綱吉の怪訝な視線に気づいたのか、雲雀は意地悪くニヤリと笑った。

この人、確信犯だ……!

「恭弥さん! そ、その、あの……っ」

顔を真っ赤にした綾里が言い辛そうに自分の体操着の裾をぎゅっと掴む。
無理もない、今綾里は全校生徒の注目を一身に浴びているのだから。緊張して当たり前だ。
カチコチに固まる少女を労わるように、雲雀は綾里の髪を手で優しく撫でた。
でもそれがかえって余計に綾里の緊張を煽ってしまう。
もう立っているのがやっとな状態の綾里だったが、何とか競技を続行させようと決意する。
けれど少女は半分パニックに陥っており、とても大切な事を言い忘れた。

「恭弥さん、くださいな!」
/ 148ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp