第12章 標的12 体育祭
「―――綾里ちゃん、私も手伝おうか?」
未だにお題の物を見つけられていない綾里を心配して京子が駆け寄ってきた。
「ありがとう、でも大丈夫。私も呼んで探してみるから。だから京子ちゃんは私に気にせず先に行って!」
「分かった、それじゃあまた後でね!」
京子を笑顔で見送った後、綾里は ぎゅっとお題の紙を握り締める。
(……体育祭には参加しないって言ってた。でも、もしかしたら来てくれるかもしれない……!)
綾里は僅かな希望にかけることにした。
少女は大きく息を吸って、周囲に叫ぶ。
「風紀委員長ー、雲雀恭弥さんー!! いたらお願いします、来てくださいー!!」
なんだってええええ!!!?
誰もが皆 耳を疑った。
綱吉が今にもこちらに向かって来そうな勢いで叫ぶ。
「っちょ、え? はぁ? 綾里、紙になんて書いてあったのっ!?」
「んと、『風紀委員長の腕章』って!」
それを聞いてAチームは絶望感に苛まれた。
一体どこの誰だ、そんな事を書きやがったヤツは!?
「綾里、もういいわ! 棄権して!」
「でもビアンキさん! 私、競技を途中で放り出したくないです!まだ頑張ります!」
「いやいやいや、頑張らんでいいから早く帰って来い! あの人が来ちゃったら 『借り物』どころじゃなくなるから!
『狩り者競争』になっちゃうからっ!!」
そしてもれなく綾里本人が狩られる……!
綱吉の意見に激しく同意するようにAチームから 『いい子だから早く帰って来なさい』 コールがされた。
けれど彼等の頑張りを嘲笑うかのように 最悪の事態は訪れる。
「綾里、呼んだ?」
ヒバリイィィイイーーーーっ!!!!