第12章 標的12 体育祭
(…………!)
獄寺が自分達に追いつこうとしている女子生徒の存在に気づき、チラッと背後に視線を向けた。
Cチームの女子だ。雰囲気からして運動部のように見える。
正々堂々真っ向勝負。
獄寺は綾里の為だからと言って、他の選手を妨害する気は全然ない。
何より綾里を信じていたし、せっかくの晴れ舞台を失格で台無しにさせたくない。
全力で彼女が走るなら自分は全力で応援する、ただそれだけだ。
獄寺はぐっと腹に力を入れる。
「綾里、いけええええ!!!!」
それはまさに嵐のような怒涛の叫びだった。
獄寺君、キャラが変わりすぎとるがな。
初めて見る熱血すぎる獄寺の姿にAチーム一同ポカンとしていたが、総大将である綱吉がいち早く回復し、チームの旗を天高く掲げた。
「お前ら、アイツに負けるな! Aチーム、オレに続けええ!!」
魔王の雄叫びにチーム全員が頷き、彼等も獄寺に負けじと声を張り上げる。
『綾里ーーーーーー!!!!』
「綾里、最後まで気を抜くんじゃねぇぞ」
「綾里ちゃん、ゴールはもう少しよ~頑張って~」
「綾里、早くこっちに来なさい!」
シャッターチャンスを狙うリボーン、ゴールテープを持つスイーツ部の部長と花も揃って綾里を応援した。
(みんな、ありがとう……っ!)
爆発したみたいな、力強い声援。
心強いパワーを受けた綾里は それに応えるように加速する。
そしてついに――――――
「ゴーーーール!いのり選手、200mという短いんだが長いんだか分からない微妙な距離を最後まで全力で走りきりました!!まさかここまで盛り上がるとは思わなかった女子200m走!!!最後 見事な勝利を飾ったいのり選手に、盛り上げてくれたAチームに、皆様、盛大な拍手をー!!!!」
ハイテンションな実況中継を最後に 女子200m走はこうして幕を閉じた。