第12章 標的12 体育祭
『獄寺、準備はできてるか?』
装着している黒のインカムから、リボーンの通信が入った。
獄寺は手にしているビデオカメラを念入りにチェックしながら応答する。
「いつでも大丈夫ッス!」
『いいか、この体育祭の映像は イタリアにいる 綾里のパパンに送るんだ。綾里の活躍を1秒たりとも逃すんじゃねぇぞ』
「っ、綾里さんのお父様にこれを……!分かりました! オレ、死ぬ気で綾里さんを追いかけます!」
『いい返事だ、頼んだぞ』
「はい!」
リボーンとの通信が終わると獄寺は待機している綾里に目を向ける。
ちょうど 綾里は ハチマキを髪に結んでいるところだ。
自分達があげたお守りを大切そうにしている 綾里を見て獄寺は何だか嬉しくなった。
―――もうそろそろ彼女の出番だ。
獄寺は綾里が走る前に一言声をかけたくて その機会をうかがった。