第12章 標的12 体育祭
綱吉がゼエゼエ肩で息をしながら一生懸命 叫んだ。
……なんか山本さん、色々とレベルアップしてません?
自分1人の手に負えないと感じた綱吉は他のメンバーに助けを求めた。
「獄寺君、了平さん! ……明日の朝日拝みたかったら、綾里を死ぬ気で助けろ」
漆黒の笑みで脅された獄寺と了平は慌てて山本に立ち向かうが……。
「山本ばかりズルイではないか! オレにも綾里を抱きしめさせろ!!」
「綾里さん!! んな野球バカじゃなく、オレに抱きしめられたいっスよね!?」
駄目だコイツら。
「ハハッ、綾里は人気者なのな!……待ってろ、今 片付けてくっから」
そう言ってなんと山本までもが持ち場から離れてしまった。
「武、 離れちゃ駄目! 綱吉がっ!!」
綾里に言われ、山本は棒を支えていたことを思い出すが―――もう手遅れだった。
山本は ぼりぼりと頭を掻きながら にこやかに笑う。
「あー…………わりーツナ! 倒れるわ!」
「全然 悪いと思ってないだろ、お前ーっ!?」
綱吉はその言葉を最後に大きな音を立てながら川に落ちていった。