第12章 標的12 体育祭
「あーもーガマンできねー!! やっぱてめーはぶっとばす!!」
「面白い血が騒ぐぞ」
と、ここで、飽きもせず口喧嘩していた獄寺と了平が あろうことか棒から手を離してしまう。
1人残された山本の顔から笑顔が消えた。
その顔は見る見るうちに青褪め、彼は必死に2人を呼び戻そうと叫ぶ。
「ちょっお前ら! ちゃんと支えろよ!!」
いくら山本が力ある野球部と言えども人一人が乗った棒はかなりの重さになっている。
山本だけで支えるのは無理だ。
案の定、棒がぐらっと傾いた時、
「武、私も手伝う!」
「綾里……!」
援護に駆けつけた綾里が山本と向かい合うようにして棒を支えた。
フラつきながらも一生懸命な綾里の姿を見て、彼は一体何を考えたのか、
山本は棒越しに 綾里を力強く抱きしめた。