第12章 標的12 体育祭
「やはり逸材!」
「やるなー」
「さすがっス!」
「綱吉すごい!」
「やればできるじゃねぇか」
了平・山本・獄寺・綾里・リボーンが自力で棒の頂点まで登った綱吉を見上げて感激した。
……最後 暴走しそうになって、綱吉はリボーンのグローブを顔面で受け止めていたが、一同は何も見なかったことにした(そんな中綾里と獄寺は心配そうにしていたが)
大将である綱吉が あんなに張り切っているのだ、自分達も気合を入れなくては。
当日 棒倒しに参加する了平達―――男性陣3名が綱吉が登る棒をしっかりと支え続けた。
棒倒しは男子限定の種目なので 綾里は加わらずにリボーンと共に皆を応援する。
頂点にいる綱吉はというと、想像以上の高さに戸惑っているようだった。
「わかったかこれが気合だ」
さっきの続きだと言わんばかりに了平が どこか得意げに獄寺を見る。
話の矛先を向けられた獄寺は たちまち不機嫌な顔で了平を睨み返した。
「はんっ、気合じゃねぇよ。あれは10代目の……綾里さんへの想いだ……」
最後の言葉はどこか複雑そうな声音で、小さく呟かれた。
敬愛する人の想う相手が 自分が恋焦がれる少女と同一人物でなかったなら、獄寺は綱吉の恋を心置きなく応援できたのかもしれない。
普段 皆で馬鹿騒ぎしている為 あまり気づかないのだが、こうして改めて考えてみると獄寺もなかなか難しい立ち位置にいるといえる。