第12章 標的12 体育祭
体育祭が行われるのは明日。
幸いにもハルの学校は休校らしい。
ハルは綾里と思う存分 会話を楽しんだ後、「綾里ちゃんの晴れ姿を見に行きますね!!」、「お弁当綾里ちゃんの大好物作ってきます!!」と言葉を残して帰っていった。
「―――綱吉、京子ちゃんの家に用があるの?」
最初リボーンもいた筈なのに、いつの間にか2人っきりになった綱吉達。
自宅ではなく笹川家に寄りたいと言った綱吉に綾里が聞いた。
綱吉は片手で頭を抱え、「うーん……」と唸る。
「実はさ、オレ……なんか大事なこと忘れてる気がするんだ……。了平さんに会えば思いだせそうなんだよね」
それは体育祭に関わる重要なことだったと思うのだが、どうにも思い出せない。
綱吉が悩んでいると、笹川家の住人である京子が帰ってきた。
「あれっ綾里ちゃん、ツナ君!?」
「京子ちゃん! お帰りなさい」
「お帰り、京子ちゃん」
2人の優しい笑顔に迎えられ京子が嬉しそうに微笑む。
京子の笑顔も自然と綾里達と同じように優しいものになった。
「ただいま! 2人とも私の家の前でどうしたの?」
「綱吉が思い出せないことがあるんだって。了平さんに関係があるみたいなんだけど……」
「お兄ちゃんに? ―――あ、ツナ君ごめんね。お兄ちゃんのわがままでツナ君を総大将にしちゃって……!
メーワクなら断っていいんだよ」
「いや……別にメーワクじゃ……(オレめっちゃやる気だし)」
「メーワクなら断っていいんだよ」
あ……あれ?
何かこのパターン、ついさっきも同じことがあったぞ!?
ピシリ、と固まる綱吉。
綱吉が恐る恐る小声で尋ねる。
「メーワクなら―――」
「あ、あの、京子さん……もしかして、オレが棒倒しで活躍して綾里との好感度をアップさせない為にそんなこと言ってます?」
今度は京子の方がピシリと固まった。
「……ちっ、ばれちゃった!」
京子ちゃんが舌打ちした!? しかも開き直った!?
舌打ち……と言っても、そこに悪意とかはなくて可愛らしいものだったが。