第12章 標的12 体育祭
[準備]
文句なしの青空、一陣の風が校庭のあちこちに掲げられた【必勝】と描かれた旗をゆらゆらと揺らす。
体育祭の季節を迎えた並盛中では放課後、生徒達が本番に向けて準備を行っていた。
一生懸命働く者、面倒臭そうにする者。
体育祭に対する関心は人それぞれだが、いつもと違った活気が学校全体を包んでいる。
中でも一番賑わっているのはここ、A組の教室。
「"極限必勝"!!!」
チームをまとめる了平の叫びが廊下にまで響く中、教室の片隅で円になって座っている5人の男女―――綱吉達の姿が。
皆ちゃんと席に座っているのに、離れた場所で固まっている綱吉達は完全に浮いた存在になっているが、他の者達は全員 了平の言葉に盛り上がっている為気づいていない。
「体育祭……! 楽しみだな!!」
エメラルドの瞳を輝かせる綾里。
親友のわくわくした表情を見て京子は優しげに微笑んだ。
「綾里ちゃん、ずっと楽しみにしてたもんね」
「うん! 私、京子ちゃんや隼人みたいに勉強あんまり得意じゃないけど、運動には自信があるんだ」