• テキストサイズ

青薔薇姫《家庭教師ヒットマンREBORN!》

第12章 標的12 体育祭


「―――いいですか、絶対に私の邪魔をしないでくださいね」

豪華絢爛な主の部屋。
言い渡された仕事を全て終わらせた後、椅子にふんぞり返って座る男に向かって私は微笑みながら念を押すように言った。
その笑みには ほんの少し黒い感情が混じっていたかもしれない。

「ハッ、興味ねぇ」

するとそっけない返事が返ってくる。
私の上司は自分の興味のないことには一切干渉してこない。
分かり切ったことではありますが、念には念を入れなくては。
なんせ彼―――いえ彼らは ちょっとした事で私を呼び付けますからね。

「何かありましたら、他の方々に申し付けください。それでは失礼します」

部屋を後にする際 不機嫌な視線を向けられましたが、私は気づかないフリをして部屋を出た。
けれど早足で自室に向かう途中、部屋を出て数分も経たないうちに、

ガシャンッ!!

何かが割れる音。
……遠くから私を呼ぶ声が聞こえたような気がしましたが、幻聴ということにしておきましょう。
あはは、私ももう歳ですかね。

「……はぁ」

連日の仕事の疲れが一気に出たようです。
……ああ、早く心に癒しが欲しい。
そんな私が唯一癒されるものといえば―――

「ただいま帰りました。

……あかり、綾里……」

自室に戻った私は机の引き出しから小さな写真立てを取り出し、愛しき妻と娘の名を呟いた。
今は亡き妻、遠く離れた地にいる娘。
私がこの世で最も大切に想う者達。
……両者とも手の届かないところにいるのが辛いですね。

「―――おや? これは……」

ふと、デスクに茶色の封筒が置いてあることに気づく。
封を開けて中身を取り出すと、そこには1枚のDVDが入っていた。
ラベルに書いてあるタイトルは、

【並盛中 体育祭~綾里メモリーズ~】

綾里という文字を目にしただけで自然と笑みが零れてしまう。
イタリアで働かなくてはならない私は自分の娘の学校行事を見に行くことが叶わない。
……本当に彼には感謝しなくては。
私は早速デッキにDVDを入れる。
大型テレビにメニューの文字が映し出された。

「さて、どれから見ましょうか?」

~MENU~

準備(P111~)

特訓(P119~)

女子200m走(P127~)

借り物競争(P135~)

棒倒し(P145~)

END(P148~)
/ 148ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp