第11章 標的11 風紀委員長
「「「……ッ!!」」」
突然の先制攻撃。
綱吉達は間一髪のところで避け、相手と距離をとった。
サラサラの黒髪、スタイルの良い身体。
白い綺麗な手にはトンファーが握られている。
攻撃をしかけた少年―――雲雀恭弥が綱吉達を鋭く睨みつけた。
「君達、紛らわしいことしないでくれる?てっきり綾里が来たのかと思ったじゃない―――でも、よく僕の攻撃を避けたね……それも、綾里の影響?」
綱吉達は目を見開いた。
「なんだあいつ? 何で綾里さんの名前を……っ」
「「…………………」」
獄寺が少し混乱した様子で呟く。
綱吉と山本は眉間にしわを寄せ、真剣な表情で何かを考えている。
雲雀は獄寺の口元に視線を向ける―――獄寺はタバコを咥えていた。
「獄寺隼人、風紀委員長の前ではタバコ消してくれる?綾里が肺ガンになったらどうしてくれるのさ」
「っ、今すぐ消し―――」
オレは奴に言われてタバコを消し―――って、違うだろオレ!?
どうやら獄寺は普段綾里の前では極力タバコを吸わないようにしているらしい。
雲雀に言われた通り素直に実行しそうになって獄寺は頭をブンブン、と横に振った。
獄寺はギッ、と雲雀を睨みつけ殴りかかろうとする。
「綾里さんの名前を気安く呼ぶんじゃ―――」
「消せ」
一瞬の出来事だった。
雲雀がいつの間にか獄寺の眼前に迫り、トンファーでタバコの火を消してしまった。
あまりの早業に獄寺は慌てて雲雀から離れる。
「なんだこいつ!!」
雲雀と獄寺のやり取りを見ていた山本は冷や汗を掻いた。
(聞いたことがある……ヒバリは気にいらねー奴がいると相手が誰だろうと)
仕込みトンファーでめった打ちにするって――…
「―――雲雀さん、でしたっけ?」
今まで沈黙していた綱吉が静かに口を開いた。
「……何、沢田綱吉」
「(やっぱりこの人……!)オレ達のこと……知ってるんですか?」
雲雀が不機嫌な顔になった。
「綾里が君達のことをよく話題に出すから調べたんだ。せっかく2人っきりでいるのに、他の男のことを話すなんて困った子だよね綾里は―――でもまぁ、会いに行く手間が省けたよ。君達は今ここで
咬み殺してあげる」
「「「!!!」」」