第13章 夏の思い出

第13章 夏の思い出




窓からさしこむ陽の光が体に突き刺さる


暑さで寝苦しくなった喜助はハッと飛び起きた


今…何時っスか…


その時丁度正午を知らせる鐘がなる

しまった…大分寝てしまった…


紫苑は？

ふいに隣に目をやると、規則正しい寝息をたてている彼女がいた


｢紫苑、起きて…｣


優しく頭を撫でると、くすぐったそうに身を捩る紫苑


｢ん……｣


その声が妙に色っぽい

夏場ということもあって汗ばんだ体が、妙に色気を醸し出している

横を向いて寝ていることもあってか、少々はだけた合わせからはふっくらとした谷間が喜助を興奮させる


｢そんな格好で…何されても知りませんよ…｣


パチッと目を開いた紫苑に驚いたものの、起き上がろうとしている体を手伝う


｢おはよ、紫苑｣

｢……ん…｣


目を擦りながら、未だカクカクしている紫苑が可愛くてクスクスと笑う


｢寝ぼけてるの？……可愛い｣


紫苑の頬に手を重ねると、ちゅと口付けをした

唇を離すと、だんだんと赤くなっていく紫苑


｢まだ目が覚めないなら……｣

｢さっ、覚めました覚めました！｣


焦る紫苑がまた可愛くてクスッと笑う


｢寝過ぎちゃいましたね…ごめんなさい｣

｢お昼っスよもう。お祭りは午後からっスね｣

｢じゃあ私なにかお昼作りますね｣

｢ちょっと待って、体調は…？｣

｢もう大丈夫です。大袈裟ですよー｣

｢そりゃ、可愛い彼女が倒れたなんて聞いたら、心配するに決まってるじゃないスか｣


可愛い彼女…

紫苑は顔を赤らめながら、台所に立つ


｢じゃあ楽しみにしてますね｣


ボクも手伝おうか、と言ったら喜助さんはお疲れだから、休んでてくださいと座らされてしまった

自分だって昨日倒れたばかりなのに…




…手早く料理をする姿がなんとも家庭的っスね