第11章 隊長とじゃなきゃ嫌です
「ごめんなさい、私…泣いちゃって」
「ううん、ボクが悪いから」
落ち着きを取り戻した紫苑と喜助は並んで歩く
「それで、紫苑サンの気になる人は、ボクだったってことでいいんスか?」
紫苑はピタっと立ち止まる
「はい…でも、好きな人に変わりました…っ」
その言葉のあとに紫苑は喜助を見つめる
「全くアナタって人は…その可愛さは罪っスね」
「あの、隊長…」
紫苑の言葉を遮るように、その口を塞ぐように喜助の唇が重なる
一瞬目を見開いた紫苑はすぐにその目を閉じる
ちゅ、とわざと音をたてて離れた唇は熱く熱をもっているかのようだった
「スミマセン、我慢できなかったっス…」
頭が真っ白になった
次の瞬間胸のドキドキがどんどん大きくなって
顔がすっごく熱くなって…
「紫苑サン?もしかして…嫌だった?」
固まる紫苑を、不安げに見つめる
「隊長…私」
唇に手をあてて、赤らめた頬を隠すように俯く紫苑
「こんなに…ドキドキするの…初めてです」
フワッと優しい匂いに包まれた
「好きですよ、紫苑サン」
喜助はもう一度、紫苑に優しいキスを落とした
…─
「紫苑遅いなー」
「おはよ、琴乃」
「あ、紫苑!おめでとう!凄い噂になってるよ」
「噂って…まさか」
紫苑は頬を赤らめる
そういえば隊員たちが私を見てはコソコソとなにか話している
「あの、西園寺さん!」
「は、はい」
何度か挨拶をしたことがある男性隊員だった
「う、浦原隊長とお付き合いされてるって本当ですか?」
「やっぱりそうなんすか!?」
「隊長と?いつからですか?」
「うそ…俺狙ってたのに」
次々と隊員たちが群がってくる
「ど、どうしよう…琴乃」
琴乃に助けを求めると
「堂々とすればいいじゃん!」
ファイト!と小声でガッツをしている琴乃に助けを求めた私が間違ってた
「西園寺さん、本当なんですか?」
「もしただの噂なら、俺と…」