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With me

第11章 隊長とじゃなきゃ嫌です



「こんなんで、ごめんなさいっ……でもわたしっ、隊長と一緒にっ…お祭り…行きたいですっ…」


大粒の涙を流しながら、拭いても拭いても溢れてくる涙を何回も何回も拭いながら、顔なんかぐっちゃぐちゃで…


「だからっ…怒らないで…嫌いにならないで…くだ…さっ」

「紫苑サン、もう怒ってないっスから、嫌いになんてならないから…ごめんね…泣かないで…ね」


泣きじゃくる子供をあやすように、でもどうすればいいか分からずあたふたする


陰では三人が小声で話している


「泣かせたのー」

「夜一さん!いつから」

「なんやアイツ、ヘタレやんか」


結局なんだかんだ気になった夜一も見学に来たらしい


喜助は全く泣き止まない紫苑を抱き締めた


「ごめんね、紫苑サン…情けないけど、ボク好きな子に泣かれたら…どうしていいかわからない‥」…

「好きな…子?」


好きな子って、誰?

泣いてる子?って私?


「こんな状況で言いたくなかったんスけどね」

「あの…」

「ボクは紫苑サンのことが好きみたいです」

「うそ…」


ずっとずっと聞きたかった言葉

好きで好きで大好きな、その人が…


「隊長が、私のこと…好き?」

「好きです。誰にも渡したくない。紫苑サンを一人占めしたい…」


ぎゅうっと紫苑を抱き締める腕に力を入れる


「紫苑サンは、ボクのことどう思ってるんですか?」


抱き締めたまま紫苑に問う喜助は、心の中で祈った

好きって何回も心の中で叫んだ

好きな人と思いが通じ合うことを何回だって頭に思い描いた

好きって、相手に伝えるのって…こんなに緊張するんだね


「ねぇ、聞かせて…紫苑サン…」


紫苑の心臓は破裂しそうだった


「ボクのこと好きですか?」

「私……」


手が震える

震えを隠すようにぎゅっと拳を握る


「私、隊長のこと…」


ずっと言いたかった言葉


「隊長のことが…好きです」


やっと、やっと言えた…

私の気持ち…


「大好きです…」

「紫苑サン…」


喜助は紫苑の目をまっすぐ見つめる


「ボクの恋人になってくれますか?」



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