第11章 隊長とじゃなきゃ嫌です
夜一が言い終わるより早く、喜助は瞬歩でその場から消えていた
「人の恋路は何年生きても面白いのぉ」
1人ポツリと呟いた夜一も、瞬歩でその場を後にした
…─
紫苑サンの霊圧は…
見つけた、隊舎裏だ
ボクは霊圧を消して近づく
「あの、西園寺さん!俺、前から西園寺さんのことが好きでした!」
「え?」
「俺と付き合ってもらえませんか?」
その頃喜助に近づく霊圧がふたつ
「何やってんスか…琴乃サン、ひよ里サン…」
「隊長こそ…紫苑が呼び出されたから、絶対告白だと思って見届けにきたんですよ」
小声で話す2人
琴乃に面白そうだから行きましょーと無理矢理連れてこられたひよ里は、興味ないわと言いながらチラチラと紫苑たちのほうを見てる
紫苑はどうやら返事をできないでいるようだ…
「紫苑相手を傷つけると思って、ハッキリ断れないところあるんですよね。しかも押しに弱いし…」
「ハッキリ断れない上に押しに弱いって、それ…紫苑サンオッケーしちゃうじゃないっスか!」
「隊長が焦らしてモタモタしてるから、紫苑とられちゃいますよー」
「ちょっと行ってき…!」
まだもうちょっと様子見ましょと、琴乃に羽織を踏まれて動けなくなる
「あの、返事は今じゃなくていいです!だから、今度の夏祭り…俺と…1回だけ…」
「1回だけ…」
紫苑の胸がドキッとなる
その理由を知ってるのは多分紫苑だけだろう
「俺とデートしてくれませんか?」
"ボクとデートしてくれませんか?"
その声が頭に木霊して、紫苑は後者の声の主を思い浮かべた
「なんか紫苑めっちゃ顔赤いねんなー喜助」
「紫苑照れてますねー隊長」
「あれ、居らんやん」
さっきまでそこにいた喜助は、気付いたら紫苑の近くにいた
「スミマセン、その日は先約があるんスよ」
「「う、浦原隊長!?」」
喜助は紫苑の肩を抱いて自分のほうに寄せる
まるで見せつけるかのように