第11章 隊長とじゃなきゃ嫌です
いや余裕があるように見せてただけで、内心どうすれば喜んでくれるだろうとか、なんでそんなに可愛いことばっかり言うのかとか、心臓がイチイチ動いてそりゃもうどっと疲れましたよ
でもね、紫苑サンといると、なんていうかこう全ての黒い感情が浄化されるというか…うん癒されるんスよ…
自分でもびっくりっスよ…
思ってる以上に、惚れ込んで…
「全て声に出ているぞ喜助よ」
「よ、夜一サン!いつからいたんスか!」
「そしたら隊長ともっと一緒にいれたのに…からじゃ」
「最初からじゃないスか!」
夜一は喜助の隣に腰かける
「紫苑がそんなかわゆいことをのぉ」
「そうなんスよ…もう頭から離れなくて」
「ところで紫苑の着物は白じゃったか?」
「そうっスけど、なんで知ってるんスか?」
喜助はまた、昨日の紫苑を頭に思い浮かべる
「儂の言うことをしっかり聞いてえらいのー。かわいいやつじゃの」
「ちよっと待ってください!夜一サンの言うことってなんスか?!」
夜一に掴みかかるぐらいの勢いで問いただす
「紫苑がのぉ」
「紫苑サンが、なんスか…」
喜助はごくりと唾を飲み込む
「どうしようかのぉ」
「もったいぶらないで教えてくださいよ!」
夜一は教えるか教えまいかニヤニヤと喜助を焦らす
「お主の好みはなんじゃと、聞いてきおったぞ」
「え?ボクの好み?なんスかそれって、そ、それってどういう…」
「さぁどういう意味かのぉ」
段々と頬が赤くなる喜助を横目に、夜一は完全に楽しんでいる
ボクの好みを?
夜一サンに聞くってことは?つまり?つまり、ボクの好みに合わせたいってことで、それはつまり、嫌、まさかそんな…紫苑サンが…ボクなんかのことを…
「じゃから全部声にでておるぞ…」
夜一の声も聞こえず、喜助は未だ1人でブツブツとしている
「そうじゃ、思い出したぞ!」
「なんスかいきなり…」
「喜助のところへ来た理由じゃ」
「どうせボクのことからかいに来たんでショ」
「お主のかわゆい紫苑が、どこぞの馬の骨とも知らん奴に呼び出されておったぞ」
「紫苑サンが呼び出された…ちょ!それを早く言ってくださいよ!」
「おーすまんすま…」