第62章 新婚の在り方
「え、なんで……?」
「本日付けで十二番隊第四席になりました!東雲琴乃です!よろしくね!」
紫苑は開いた口が塞がらなかった
どう?驚いた?と私の反応を楽しんでいる琴乃
「どういう、こと?」
理解が追い付かない
困った顔で喜助さんを見ると、分かってましたと言わんばかりに微笑んでいた
琴乃に続くように中に入ってきたのは阿近
「こないだ琴乃が突然来て、紫苑が妊娠したって聞いた時は驚いたよ」
「阿近…!あの、突然休んでごめんね…」
「別にいいって。浦原さんから休ませるって聞いてたし」
ホッとしたのも束の間、紫苑は最大の疑問に声をかけた
「あの、琴乃…」
「紫苑には、驚かせたくて色々内緒にしてたことがあるんだけど、もう言っちゃうね!」
琴乃はイタズラを告白する、子供のような顔で話し始めた
喜助さんは私に椅子を持ってきてくれて、そこに腰をかける
「真子が五番隊の隊長に復帰できることが決まって、その少し後に、私も護廷隊に戻れることが決まったの」
「…え?平子隊長も?」
「うん。それで本当は四月から戻る予定だったんだけど、こないだ紫苑の話を聞いて、真子に相談して、マユリさんのところに来て復帰を早めたんだ」
だから最近、出かけることが多かった?
私の為に…
「だからもう、私の為に、四席を守ってくれなくていいんだよ」
「知ってた、の?」
「うん、夜一さんから聞いてね」
知られていた、と思うとなんだか恥ずかしい
「だから、四席は私に任せて…ね!」
「ありがと…っ」
本当に戻ってきたんだ
あの時失った、大好きで大事な、たった1人の家族だった
大好きな人が居た四席を、ずっと守ってきた
誰にも渡したくなかったから
溢れる涙を拭う紫苑の肩に、優しく喜助が手をかける
「それとね…もうひとつ重大発表があるの!」
うずうずとした琴乃の様子を見ると、きっと良い話しなんだろう
「こっちに戻れることが正式に決まった時、真子に…プロポーズされたんだ」
「え、平子隊長に?」
琴乃の左手には、キラリと光る指輪がはまっていた