第62章 新婚の在り方
「浦原四席ー、これどこにあります?」
「五十六の棚だよ」
「紫苑さん、私ちょっと体調悪くて…」
「うん、無理しないで!今日は帰りなね」
「紫苑、例の調査書類を貰ってき給え」
「はーい、すぐ貰ってきますね」
机に向かっていた紫苑は立ち上がった
あれ…
なんか…
「ストップ。そこまでっス」
「喜助…さん」
倒れ込む紫苑を受け止めたのは喜助だった
「無理しちゃ駄目って、言ったじゃないスか…」
「ごめ…」
「涅サン、紫苑ちょっと借りていきますね」
「え、ちょ…喜助さん」
マユリは喜助を一睨みすると、すぐに手元に視線を移した
…─
「紫苑さんは昔っから自分の身体大切にしないんですから。もう少し自分のこと気にかけてくださいよ」
「ごめん…勇音さん」
ベッドの上で横になる紫苑は、肩を落とし小さくなっていた
「体調管理も仕事のうちですからね」
「はい…」
勇音さんはいつもは優しいけど、時々厳しい
特に私が自分を大切にしてない(そんなつもりはないんだけど)時は、本当に目が笑ってない
卯ノ花隊長に似てきたんだろうか
ガラガラ─
扉が開く音
「喜助さんどこ行ってたの?」
私を四番隊に連れてきて、勇音さんに渡すなりどこかへ行ってしまった喜助さん
「紫苑は明日からしばらくお休みっス」
「え?どういう…」
「もう涅サンには話つけてきましたんで」
「なら、紫苑さんゆっくり休んでくださいね」
「でも、仕事が…」
溜まってる仕事は山のようにある
今日帰ってしまった子の分もやらなければいけないし、マユリさんに調査書類を貰ってくるように言われていた
あの実験のレポートもかかなければいけないし…
「聞いてました?もう話つけてきたんで」
「…マユリさん、怒ってた?」
「迷惑かけられるのは昔からだろう?って言ってましたよ」
マユリがため息混じりにボヤいているのが想像できる
「ごめんなさい」
「よく、頑張りましたね」
紫苑の頭をくしゃっと撫でると、ほんのり涙腺が緩む