第61章 アナタが笑顔なら 後編
半年後─
顔の傷もすっかり綺麗になった紫苑
え?傷痕を消すのに何かしたのかって?
それは教えられないっスねぇ…
「え?喜助さん何か…したの?」
「え?ぃ…や、そんなはずないじゃないスかっ」
あはは、といかにも苦笑いをして
だけど、私の目は誤魔化せないんだから
でも良い、知らないフリをしてあげる
きっと逆の立場でも、私も同じことをしたと思うから
「それより紫苑、書いて欲しいものがあって…」
きっと、このタイミングでこの紙が出てくるなんて思っていないだろう
傷も治った
プロポーズしてからもう半年も経った
もう、充分っスよね?
「なぁに?」
ずっと、100年以上もこの時を待っていた
別に、こんな紙切れ1枚で何が…と思わなくもない
だけど、こんな紙切れ1枚が…やっぱり大切で
死神だって、永遠の命ではないから
形に残せるものは、1つでも多く
この世に残せたら良いなと、思います
「改めて、ボクと結婚してください」
fin.