第61章 アナタが笑顔なら 後編
「紫苑は大丈夫。勇音さんが来てくれたみたいだから」
「また虎徹チャン来たんか。こないだも呼んでもうたし、悪いことしたなァ」
「大丈夫だよ、勇音さん紫苑が大好きだから」
「なんだその理由…」
1階の空き部屋に琴乃が布団を敷き、一護と平子は喜助を布団に寝かせた
「鉄裁さんに連絡しようか?」
「せやな。琴乃もしばらく此処に居ったれ」
「わかった」
琴乃は一度部屋を出て、鉄裁に電話をかけた
「それで、紫苑と浦原さん、何があったんだよ。虚は浄化できたんだよな?」
「まァ、虚はな」
「虚は…って…」
痩せた顔
きっとクスリに任せて食事もロクに取らなかったんやろな
「ちょォ長くなるで…」
そして平子はここ1週間で起こった出来事を話し始めた
…─
「真子ー鉄裁さんと子供たち、戻るの明日になるって」
「そうか…なら俺も此処泊まるわ」
「え、ほんと?」
少し嬉しそうな琴乃
1人では少し、心細かったんだろう
「俺も泊まる!」
「はァ?」
「俺だって2人のことが心配だし、何もできなかったから…」
拳を握りしめる一護
「無理や、お泊まり会とちゃうねんぞ」
「お泊まり会って…幼稚園児か俺は!」
「でも一護、明日学校でしょ?」
「くっ…」
確かに…
商店から学校は遠くはないけど、なんの準備も持ってきていないし
「…分かった。紫苑の顔見てから帰るよ」
「俺も顔見とくか」
3人で2階に上がった
枕元に置かれた薬と、おそらく勇音だろう書き置き
当の本人は未だ、眠りのなかにいた
「顔色悪いな…」
「殺されかけたらしいからなァ」
「その女、会ったらぶっ飛ばしてやるんだから!」
「もう会うことはないやろ」
「そっか…そうだよね」
蛆虫の巣から脱獄してきたと聞いた
ていうか蛆虫の巣なんてものがあるのも、初めて知った
そこに浦原さんはいたらしい
十二番隊の個性的な面子はそれか
そして脱獄者は再びそこに収監される
一度脱獄した者は、監視が厳しくなって、いくら十二番隊の息がかかっているとはいえ、そこから出るのは絶望的らしい