第61章 アナタが笑顔なら 後編
「喜助!」
「浦原さん!」
台所にもたれかかるように座る喜助
床には白い錠剤と水が入っていたであろうグラスが転がっている
「喜助!おい、しっかりせぇ!」
身体を揺すると目頭に力が入った
「…ん…」
「真子、大丈夫だよ。生きてる」
「なんやもう…死んだかと思うたやんけ」
大きく息を吐くと喜助の隣に座った
「…大丈夫っスよ…それ、ビタミン剤と安定剤なんで…」
「ほォ…って全然大丈夫に聞こえへんけど!?」
「真子うるさい」
「うるさいって…おい」
琴乃は台所の蛇口をひねり、新しいグラスに水をくみ、喜助に渡した
「スミマセン…」
そして床に散らばったものの片付けを琴乃がしていると、店のシャッターを揺らす音が聞こえた
「おーい浦原さん居ないのか?3日って言ってたよな?もう1週間は経つのに、いつまで休みなんだよ?浦原さーん?」
ガシャガシャとシャッターの音が響くと、喜助は頭を押さえ始めた
「一護だね…」
「ちょォ行ってくるわ」
「お願い」
琴乃は喜助の介抱を続け、平子は勝手口から出て表にまわった
「琴乃サン…スミマセン。紫苑の様子…見てきてもらえません?」
「紫苑は2階に?」
無言で頷いた喜助を見て、琴乃は階段を上がった
…─
「浦原さーん。紫苑は大丈夫なのか?おーい」
「お前うるさいねん…」
「平子…」
かったるそうに頭をかきながら一護の前に現れた平子
シャッターを叩く手を止めて、平子を丸い目で見る
「喜助の身体に響くから止め」
「身体に響くって…浦原さん大丈夫なのか?!」
「まァアイツは殺しても死なんやろーけど…」
「そういうこと聞いてる訳じゃなくて」
その時、もう1人表に駆けてくる足音
「真子、一護、浦原さん運ぶの手伝って」
「へいへい」
「運ぶって…動けないのか?」
後でちゃんと話すから、と琴乃に背中を押され一護も商店の中に入る
「紫苑の様子見て戻ってきたらまた寝ちゃってて…」
「紫苑は?無事なのか?」