第10章 キスされても知りませんよ
照れながらニッコリ笑う彼女がたまらなく可愛い
彼女の笑顔を見れるならボクはなんでもできそうだ
お店を出て歩き出す
「紫苑サン、黒とかも似合ってましたけどね」
「黒も確かに綺麗でしたね。でも…」
「でも?」
「隊長が私に選んでくれたやつにしたくて…」
「…あんまり可愛いことばっか言わないでくださいよ…」
「え?今なんて?」
「なんでもないっスよ。さ、行きましょ。ご飯何食べたいっスか?」
「隊長は何がいいですか?」
「んーじゃあボクのオススメでいいっスか?」
隊長についていくと、ちょっとお高そうな定食屋さんについた
…─
十二番隊隊舎─
「琴乃ー、紫苑はどしたんや?」
「ひよ里さん!紫苑は今日はお休みですよ!」
ひよ里は縁側で休憩していた琴乃の隣に座る
「隊長とデートなんですって!」
「デートォォォオ!!!??」
その声の主はひよ里ではなかった
「声がデカイわハゲ真子!」
平子はその場で持っていた今川焼を袋ごとその場に落としたまま固まっている
「紫苑が…喜助とデートやと……アカン、抜け駆けされた」
「なんや真子、紫苑に惚れとったんか」
琴乃はなにも言わずに、平子の落とした袋から今川焼を取り出して食べ始めた
「紫苑はあきらめたほうがいいですよー。隊長にゾッコンだから」
「え?それホンマ?なァ?なァ?」
平子は焦りながら琴乃に問いただす
琴乃はその気迫に驚きコクコクと頷くしかできなかった
「はぁーーーーー」
「残念やったな真子」
「慰めてぇな琴乃ちゃん」
「はいはいかわいそうに」
「軽っ」
…─
定食屋をでて、隊長がもうひとつ行きたいところがあると言うのでついていく
ご飯も、出してもらっちゃった
「ごちそうさまでした!すっごく美味しかったです」
「それはよかった♪」
あ、ここですよ
そう言われて目に入ったのは、雑貨や小物、駄菓子なんかも売ってるお店
「かわいいお店ですね」
「でしょ。浴衣には、髪飾りがないと」
店内にはたくさんの髪飾りが売られていた