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With me

第61章 アナタが笑顔なら 後編



「紫苑様、落ち着かれましたか?」

「うん…ごめんね。雪姫、心配かけて…」


雪姫は横に首を振った


「喜助さんに謝ってくる…」

「でもまだ休まれていないと…」


あれは幻覚だ

喜助さんは関係ない

なのに私は、あんなひどいことを…


紫苑は雪姫の忠告も聞かず、下に降りた

未だ臨時休業のままの店内は静まり返っていた

夕陽が差し込む部屋

喜助さんはどこに居るんだろう…

発信器を確認しながら外に出た


「平子隊長!」

「おー紫苑…お疲れやったなァ。体調はどうや?」

「はい、もう平気…」

「おっと…フラついとるやんけ」


平子に支えられ、体勢を立て直した


「ありがとうございます…」

「で、どこ行くんや?喜助のとこか?」

「はい。河原の辺りに居ると思うんで…」

「ちょォ待ち?」


平子に腕を掴まれ振り返る


「あの…」

「喜助、大分落ち込んどったで…ほっといてくれ言われたんやけどな…何かあったんか?」

「喜助さんに会ったんですね…」


そして私は平子隊長に精神世界での出来事を話した


「そら辛いなァ…」

「ごめんなさい…こんな話し…」

「でもな、紫苑。自分でも分かっとると思うけど、それはやっぱし幻覚であって、喜助とは関係あらへんよ」

「はい…だから、これから謝りにいきます」

「俺も付いてく」

「え、でも…」

「フラフラなお前1人行かせたら、喜助や琴乃にどやされるやろ」


ニカッと笑う平子の勢いに負けて、付いてきてもらった


空がオレンジ色に光る

大分肌寒くなってきた

喜助さんは寒がってないだろうか


「居ったで」


いつもの作務衣

いつもの帽子が目に入る

胸がドキドキする

許してくれるかな…


喜助の姿が大きくなってきたとき、もう1人誰かの姿が見えた


「誰かと喋っとるな…」

「なんで…」


立ち止まる紫苑

目を見開いて、一瞬で顔色が悪くなる


「どないした?紫苑」

「精神世界で…喜助さんと、キスしてた…人…」

「はァ…?!」



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