第61章 アナタが笑顔なら 後編
『オマエまだそんなチカラが…!』
「あの時を思い出した?」
『やめろやめろヤメロ!ワシは此処から出て再び、霊力を喰ろうテ…チカラをつけ…ル…』
そして虚は完全に斬魄刀に吸収された
「はぁ…はぁ…」
「紫苑様、あとは私にお任せください」
「ううん…はぁ…私も…一緒に居る…一緒に…三日…居るか……ら…」
そして紫苑は意識を失った
…─
プチっと音をたてて、紫苑の霊圧制御装置のネックレスが切れた
「もしかして…」
喜助はそのネックレスを拾い、握りしめた
そして少しの間のあと
「…っは…」
「紫苑!」
紫苑が目を開けたのも束の間、次の瞬間
紫苑の身体の至るところから、血飛沫が上がった
そして紫苑は意識を失った
きっと虚を封印することに成功したんだろう
こんなに傷をつくって…力を解放して…
「よく、頑張りましたね…」
喜助は紫苑を布団に寝かせ、傷の治療に取りかかった
…─
三日三晩の後─
「喜助様…」
「雪姫サン!」
喜助の前に雪姫が現れた
それは、全てが終わったことを意味していた
「終わったんスね…」
「はい。あの、紫苑様は…」
喜助の傍に横たわる紫苑
雪姫も三日間心配で仕方なかった
「傷は治しましたが、まだ目は覚めません…」
「…紫苑様は、虚を吸収したあと三日間、私と共に居てくれると仰っていたのですが、その直後意識を失って…」
「やはり力を…?」
雪姫は頷いた
紫苑の首に再びあのネックレスがついているところからすると、喜助がなおしたんだろう
「だから、私が精神世界から紫苑様を出しましたわ」
「相当な力を、使ったんでしょうね…」
過去に、卍解の修行で眠りについたときも、長くても丸1日ほどだった
それが三日も起きないということは、そういうことだろう
「それから喜助様…ひとつ心配なことが…」
「心配なこと…?」
「…ん…ぅ…」
紫苑の瞼に力が入る
「紫苑!」
「紫苑様!」
ゆっくりと目を開ける