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With me

第61章 アナタが笑顔なら 後編



喜助さんの首に腕をまわして、舌を絡ませる2人

動悸がしてくる

胃が痛い…


「紫苑様!紫苑様!」


なんで私、止めないの?

なんで、動かないの?

なんで?私の喜助さんなのに…


「しっかりしてくださいませ!」

「……雪姫…」

「紫苑様は幻覚を見せられているだけですわ!」


幻覚…?

でも、お母様やお父様と違って、匂いだって、なにもかも喜助さんで…


「遥様のようになってはいけませんわ!」


お父様のように…?

お父様は…お母様を虚だと思って傷つけた

幻覚…

喜助さんは…


『スミマセン紫苑サン、アタシのことは忘れてください』


喜助が刀を抜いて紫苑に静かに近づく



喜助さんは、私のことを紫苑サンなんて呼ばない…

喜助さんは、私の前で自分のことをアタシって呼ばない…


「紫苑様!」

『さようなら、紫苑サン』


振り下ろされた刀を、紫苑は受け止めていた


「あなたは…喜助さんなんかじゃ…ない!」

『チッ、バレたカ…』


姿が歪み、再び虚が姿を現した


「また逃がすと思う?縛道の三十 嘴突三閃!」


紫苑の放った鬼道は、地に虚を磔にした


『クソッ…!』

「卍解 霖雨蒼生!」


虚に刀を突き立てた

吸い込まれるように虚が少しずつ姿を変えていく


『やめろやめろヤメロ!』

「どうして…」


吸収が弱まっていく

まだ、半分も吸い込めていないのに


『ククク…!オマエ幼き頃より力が落ちたなァ!』


力が落ちた…?

そうだ

私は、昔触れただけでこの虚のほとんどを浄化した


嘴突三閃の刃が1つ、2つと音をたてて消されていく


『残念ダッタな、オマエにワシは捕らえらレナイ』


最後のひとつがミシミシと音をたてる

突き立てた刀が次第に押し戻される


『終わりダ娘!』


嘴突三閃の最後のひとつが壊れると同時に、紫苑はもう一度刀を強く突き立てた


『ナニっ!?』


先程とは比べ物にならない速さで吸収が再開する


「ありがと、あなたのお陰で気づけた」


紫苑の後方には、引きちぎったであろう霊圧制御装置のネックレスが転がっていた


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