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With me

第61章 アナタが笑顔なら 後編



『お父様も、いるわよ』

「お父様…?」


視界の横からは、お父様が歩いてくる姿が見えた


『紫苑、立派になったな…』

「本当に…?」

『あぁ…おいで紫苑』

「お父様…っお母様…っ」


紫苑は2人に抱きついた

涙が自然と溢れてくる

懐かしい温もり

懐かしい匂い…

匂い…?

違う…これは…この匂いは…


『だけど紫苑、もう時間だ』

「時間…?」

『さようなら、紫苑…会えて良かった』


瞬きをする速さでその場を離れた

腰を少しやられた…っ


『反応の良いやつメ…』


大好きな2人の姿がぐにゃりと姿を歪ませた


「お母様…お父様…」

『ママとパパに会えてウレシカったか、娘!』

「うるさい!最低!私の両親を、どこまで…!」


泣かない…泣かない…!

絶対倒す!

喜助さんが待ってる…


『紫苑サン!』

「喜助…さん?」


どうして…ここに


『心配で来ちゃいました。大丈夫っスか?』

「本当に、喜助さん?」

『当たり前じゃないっスか』


肌に触れると感じる体温

鼻を近づけると落ち着く匂い

私を見つめる優しい瞳


「来て、くれたの…?」

『えぇ、アタシも一緒に…』


その時何処からかまた1人、女性が現れた


『喜助!こんなところに居たの?探したわよ』

『あぁ、スミマセン、突然居なくなって』

『…誰よその女…まさか浮気…!?』

『や、違いますって。アタシには貴女だけ…』

『ならキスしてよ。あの子の前で…あの時みたいに』


私に少しだけ視線を向けただけで、喜助さんはその女の人に…

なんで?

目を、反らせなかった

心臓がバクバクして

喜助さんが、他の女の人に…

あの時…?


『スミマセン紫苑サン、恋人が来たので行きますね』

「恋…人…?」

『アタシが、世界で一番愛する人です』

「なんで…喜助さんの恋人は…」


嫌、今はもう婚約者…なのに…


『喜助は私のモノよ。これからいっぱい愛してもらうの…』

100年居なかった、アナタの代わりにね…


私の耳元で、女は囁いた

脳が震える


『こらこら人様の前で言うもんじゃありませんよ』

『ごめんなさい。でも、我慢できないの…ねぇ、もう一回キスして…お願い』


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