第61章 アナタが笑顔なら 後編
「それ以上…私の両親を侮辱しないで!!卍解!!」
斬魄刀は形状を変え、先端には水晶玉のついた長い槍のような、杖のような形に変形した
「ヤッテみるがイイ!」
瞬歩で虚に一気に距離を詰めた時、そこにもう虚は居なかった
『ワシは逃げ足が早いので有名デナッ!!』
どこからか響く声
上からにも、横からにも、下からにも聞こえるようだ
「出てきなさい!」
『そのウチなァ!』
一体何処に…
空気の重苦しさは残っている
此処から出られないはずだから、絶対何処かに居るはず
「…ぁあ!」
背中を傷つけられたっ
なのに振り向くともうそこに姿はない
「本当に、足が早いのね…」
あの頃の死神たちが苦労したのもわかる
『ワシを捕らえられるか!娘ェ!』
全然目で追えない
身体にはどんどん傷が増えていく
「はぁ…はぁ…」
『ククク…どうしたァ!さっきの威勢はドコニイッタ!』
「はぁ…はぁ…」
紫苑は唇を噛み締めた
「雪姫…ごめん」
雪姫は紫苑の考えを察した
「構いませんわ…」
紫苑は斬魄刀を天に掲げた
「花紋!」
喜助さんが作ってくれた霊圧制御装置をつけてる状態で出せる最大の力で、雪姫の大好きなこの世界を…壊した…
『ナにッ…!?』
自身を除くほぼ全てが、花紋によって消し去った
そしてそこには傷だらけの虚がいた
「雷花!」
虚を囲うように雷花が咲き、花びらから無数の電撃が虚を襲う
『グアァッ!』
そして紫苑は刀を構えなおした
お母様、お父様…今、私が敵を…
「卍解 霖雨蒼…『クククッ…』」
紫苑が言い終わる前に、笑いだした虚
そして辺りは一瞬の暗闇に包まれた
『紫苑…』
「お母…様…?」
今、私が斬りかかろうとしていたソレは、大好きな…大好きなお母様の姿に変わっていた
『紫苑…良かった…元気そうで』
「どうして…」
『あなたにどうしても会いたくて、ちょっと無理してきたの』