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With me

第60章 アナタが笑顔なら 前編



「雪姫が話してくれるとは、限らないんだけど…」

「ボクも聞いて、良いんスか?」

「なんか1人で聞くの、勇気が出なくて…」


膝の上の握りこぶし

その手を上からふわっと包み込んだ


「分かりました。一緒に聞きましょう」


紫苑は安心したように笑った


「ありがとう」


場所を変えて地下の勉強部屋に来た


「一応結界はっておきましょうか?」


此処はそこまで頻繁に使われるわけではないけど、誰かが来るとも限らない


「お願い」


喜助が結界をはる傍で、紫苑は雪姫を呼び出した


「雪姫…」

「はい、紫苑様」


相変わらずこの子は美しい

美しいものや花が大好きなこの子の中に、ひとつだけ黒いものを見たことがある


「突然呼び出してごめんね。聞きたいことがあるの…」


結界をはり終えた喜助さんが、隣に座る


「ご両親のことでしょうか?」

「え、なんで分かったの?」

「そろそろ、お話しなければいけないと思っていましたわ…」

「ボクも聞いても?」

「えぇ、かまいませんわ」


少し悲しそうな顔をして静かに口を開いた


「少し、長くなりますわ」


そして雪姫は、昔の話をしてくれた


「今から、150年くらい前のことです…」





…─




「ねぇ菫聞いた?またあの虚が出たんだって」

「それって、幻覚や悪夢を見せるっていう?」


しばらく大人しくしていたその得体の知れない特殊な虚は、どうやら死神や流魂街の住民に憑依して、幻覚や悪夢を見せて撹乱させ、周りの者を襲わせるらしい

度々目撃情報があがってはくるものの、駆けつけた頃にはもうたくさんの人が犠牲になっていて、当の虚は既に逃げていた


「そうそれ。それで警備を強化するからって、今朝早くに、討伐隊が組まれたの。そこに菫の彼氏も居て…」

「え?遥が?」

「うん。時間がないから代わりに伝えておいてくれって頼まれて」


私の恋人、西園寺遥は十番隊の三席でそろそろ副隊長になるんじゃないかって話を何回も聞く程、優秀な死神だった

一方私は六番隊の三席に昇進したばかり

伝言を伝えにきてくれた彼女は、遥と同じ十番隊の五席で私たちと同期だ

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