第59章 Swear eternity
「うん、大丈夫。どこに行くの?」
「秘密。喜んでくれたらいいんスけど」
ドキドキしながら目的地までを楽しみに待った
この辺りは大分雪が積もっている
けど、喜助さんのスプレーのお陰で寒くはない
「着いたよ。おいで」
歩きにくい雪道に手を引かれる
眩しいピンク色に輝く何かが見える
視界が段々と切り替わって、目に飛び込んできた光景は…
「なに…これ…」
紫苑は空いた口が塞がらなかった
冬なのに、目の前には視界を覆い尽くすほどの桜
木に積もった雪が、ピンクにライトアップされてまるで本物の桜のようだ
幻想的な景色に心が一瞬で奪われる
「冬に咲く桜。どうしても見せてあげたくて」
桜が嫌いだった
「泣かないで…」
たくさんの思い出が溢れてきて、胸がいっぱいになる
「ううん、感動しちゃって…」
喜助はそっと紫苑の肩を寄せた
「紫苑が本当は桜が大好きなこと、分かってるから。これなら、良いでしょ」
「うん…うん…っ」
桜が、嫌いだった
私の前で咲かない桜が
いつの間にか散ってしまう桜が
琴乃と見れなかった桜が
でも…
「喜助さん…春になったら…」
「春になったら、みんなでお花見しましょうね」
「琴乃も…っ?」
「もちろんっスよ」
また溢れる涙を喜助さんは何度も拭いてくれた
…─
「こんな良いところ取ってくれたの?」
予約したというホテルに着いて驚いた
「だって大切な人の誕生日っスから」
「ちょっと緊張しちゃうな」
チェックインをして、部屋に荷物をおろす
先に届いていた荷物もほどいて、夕食までの時間ホテル内を散策した
「みんなへのお土産何がいいかな」
「スキー場でも買ったじゃないスか」
「えーでもここのお菓子も美味しそう」
楽しそうにお土産を選ぶ姿も可愛い
「ねぇこのたか丸くん可愛くない?」
「え、可愛いっスか…?」
鷹の頭にお城がのってる?被ってる?
「可愛い~ぬいぐるみもあるよ」
女の子の可愛いは、イマイチわからないっス…
「もうちょっとしたら夕食ですからね」
「はーい」