第59章 Swear eternity
「これで大丈夫かな…」
試着はしたけど、ちゃんと着るのははじめてのウェア
スキーブーツを履いて、ニット帽を被ってゴーグルをつける
ロビーにでると喜助さんが既に待っていた
深緑のウェア
やっぱり喜助さんは緑が似合う
「可愛いっスね…似合ってる」
「喜助さんも…」
外にでたところで喜助さんに板をつけてもらった
「私滑ったことないよ…」
「知ってますよ」
喜助さんは慣れた手付きで私に板を装着していく
もしかして他の女の人と来てたのかも…
「来てませんよ」
「えっ?私なにもっ」
「商店のメンバーで何度か来たことはありますけど、女の子と2人で来るのは紫苑が初めてですよ」
トクン
と胸が鳴った
喜助さんの初めてをまたひとつ貰えた
「さ、行きますよ」
…─
「私才能ないのかも…」
「まーだ引きずってるんスか?」
スキー場に併設されている、割りとお洒落なカフェがあって、そこでランチにした
食堂みたいなところもあったんだけど、私が長く休憩できるようにって
「だって転んでばっかり…あんなに難しいなんて」
「初めてっスからね。何度か練習すれば上手くなりますよ。それまでボクが手取り足取り教えてあげるから、ね」
「うん、ありがと」
ちょっと違う意味が入ってそうだけど
「ねぇ、ごはん終わったらお土産みても良い?」
「もちろん」
目線の先に少しだけ見える土産売り場に目を輝かせる紫苑
休憩がてらちょうど良いか
「琴乃と平子隊長と、商店のメンバーと…」
と指を折りながら数える
この子はボクが、何をしようとしてるのか少しくらい気づいているんスかねぇ
「雨ちゃんは甘いのが良いかな?」
「こっちが良いんじゃないスか?」
ねぇ、好きだよ紫苑
愛してるんスよ
言葉じゃ伝えきれない想いを、キミは受け止めてくれますか?
…─
「次行くところがメインなんスけど…疲れてない?」
スキー場を出た頃には、まだ夕方なのに冬のせいもあってすっかり暗くなっていた