第9章 私に、だけ…?
隊長から初めて物をもらった…
どうしよ…
「紫苑~何にやけてるの~?」
なにそれなにそれと琴乃は興味津々
「ははーんさては隊長に貰ったな」
「現世のお土産だって」
「私さっき会ったけど、貰ってないよー。紫苑にだけかー」
私にだけ?
どうしよう…また顔が緩んでしまう…
「恋っていいねー」
「そうだ!琴乃、これ」
紫苑は写真の1枚を琴乃に渡す
「こ、れ」
琴乃は目を大きくして写真に見入る
「どうしたの…これ」
震えた声で、震えた手で、必死に涙を堪えているんだろうってよくわかる
「夜一さんとこ…四楓院家に残ってたんだって…」
「ありがとう…紫苑…」
ついに涙を耐えきれなくなった琴乃は溢れだすと同時に紫苑に抱きついた
その頭を優しく撫でる
「やっと渡せた…」
「もしかして前に隊長が言ってた写真って…」
「うん、あの時バラバラに破られちゃって…隊長になおしてもらったんだ…遅くなってごめんね」
「そうだったのね…」
大切にするねと、琴乃は涙を拭きながら笑った
「これね、1枚しかなかったんだけど、隊長が増やしてくれたんだ」
「へーそんなこともできるんだね。紫苑そんなとこにも惚れちゃったんでしょ」
「急に何言うのっ」
紫苑の頬はまた赤く染まっていた
浦原隊長から貰ったお菓子を私は1日一粒ずつ食べていた
いやほんとは一粒だって食べたくなかった
せっかく浦原隊長がくれたのに無くなってしまうのが嫌だから
でも腐らせるのはもっと嫌だ