第57章 なんかあったら言えよ
「仲間って…」
「安心しろ。俺たちだけじゃない。そこに居る阿近さんも、日番谷隊長も報われない恋をしている仲間だ」
阿近さんから、一緒にすんな、という視線を貰った
「え!阿近さんと…冬獅郎も…!?」
一気にライバルが増えた…
そしてライバルにどうやったら仲良くなれるか、なんかを聞いた自分が恥ずかしい
「それにしてもさっきの電話もそうだけど…阿近さん、紫苑には異様に優しいんだよなぁ。やっぱり紫苑も優しい男が好きなんすかね」
応接ソファにでーんと腰かけた檜佐木は、上を向きながらため息をついた
「優しい男か…」
「まずは紫苑に触れるように頑張んな」
「阿近さんは触れるんすか?!」
男嫌いとは噂に聞いていたけど、どうやら本当らしい
「まぁな」
「俺は…触れなかった。拒絶されたんだ…」
「いきなり触ったんじゃねぇのか」
「…その通りです」
一護は書き終えた問診票を阿近に手渡す
「あー、浦原さんになりてぇなぁ…」
檜佐木の更に深いため息が聞こえる
「黒崎、こっちの機械で計測するから」
「計測ってなんの?」
「霊波とかまぁ色々」
色々ってなんだ?という顔で一護は言われるがまま機械に向かう
「あ、ちょ!阿近さん!部屋貸してくれる話は?」
「あぁ、隊長が機嫌悪いから今回はパスな」
「えぇ!!そりゃないっすよ!」
ぶつくさ文句を言いながら、再びソファに腰をかける
「心配だし紫苑の様子でも見に行くかな」
「それはやめとけ。今仕事煮詰まってるだろうから」
「あ゛ぁー紫苑に会いてぇ!」
頭を抱える檜佐木を横目に、一護は阿近に気になってることを聞いた
「…阿近さんはいいのか。紫苑のこと、好きなんだろ?」
数秒の沈黙
「…まぁおかげで大分、拗らせてるけどな」
「拗らせてる…か」
「…お前、紫苑の幸せ考えたことあるか?」
機械のさまざまなボタンを押しながら、背中の一護に投げ掛けた
「幸せ…」
「アイツの幸せは、浦原さんと居ることだ」
「なんで…そう思うんだよ。自分が幸せにしてやりてぇって、思わないのか?」