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With me

第57章 なんかあったら言えよ



心なしか一護も檜佐木も、阿近の電話口に耳が近づいてきている気がする


「別にいーって」


それに冷ややかな目線を送る阿近


『マユリさん、怒ってるよね…』

「隊長はいつもだから、気にすんな」

『…うん』


さすがの紫苑も落ち込んでいるんだろう

声に元気がまるでない


「でも、お前が期日に遅れるなんて珍しいな。無理してねーか?」


更に近づいた2人の耳が鬱陶しくなり、阿近は少し距離を取る


『うん、大丈夫』

「そっか。なんかあったら言えよ。浦原さん居るか?」

『ありがと。もうすぐ帰ってくると思う。お疲れ様』

「あぁ、お疲れ」


大分無理してるな…まぁ、浦原さんが居るから大丈夫か…


「あ、あの阿近さん…」

「あ?」

「紫苑から電話くるんすか?!」


檜佐木が羨ましそうに目を輝かせている


「阿近さんて紫苑と仲良いのか!?」


すっかり問診を書く手が止まった一護は、内心のドキドキを必死に抑えていた


「まぁ…同じ隊だしな」

「阿近さん!聞きたいことがあるんだけど!」

「俺もあります!」


2人の圧にたじろぐ阿近


「どうやったら紫苑と仲良くなれる?!」
「紫苑の番号教えてください!」


数秒の沈黙


「同時に喋んなよな…」


とりあえずお前は紙を書け、と一護の問診票をコンコンと叩く


「番号は覚悟して自分で聞け」

「その覚悟ができないから聞いてるんじゃないすか!」


覚悟というのは、あれだろう

超がつくほど過保護な彼女の傍に居る男

そんな彼に番号を知りたいなんて知られたら、恐ろしい未来が待っている


「なんで阿近さんは番号知ってていーんすか?!」

「なんでって言われても…昔から知ってるしなぁ…」


檜佐木はどうにかして紫苑の連絡先を知る方法を考え始めた


「で、黒崎は紫苑と仲良くなりたいって?」

「俺、こないだアイツのこと怖がらせちまったから…」

「おい、もしかして黒崎も紫苑のこと…」


檜佐木が焦ったような顔で一護の肩を掴む


「も…ってまさか檜佐木さんも…」


まさかこの人も紫苑を好きなんだろうか…


「そっか、なるほど。仲間だな黒崎」



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