第57章 なんかあったら言えよ
「儂の紫苑に何の用じゃ?一護」
「よ、夜一さん?」
部屋に入ってきたのは夜一
そのすぐあとにお茶を持った紫苑が居た
「夜一さん。俺、紫苑と2人で話したいんだ…」
「おーそれはすまんすまん」
不服そうな一護
「まぁそう怒るでない」
「いや、怒ってるわけじゃ…」
一護の訴えをスルーし、夜一は腰をおろす
「お主の気持ちも分かるがの、儂も喜助からお主と紫苑を2人きりにせんように言われているのでな」
「浦原さん…やっぱりめちゃくちゃ怒ってるじゃねぇかよ」
「まぁ儂のことは気にせず話すが良い」
一護はしばらく唇を噛み締めたが、はぁと息を吐いて紫苑を見つめた
「こないだは、悪かった…」
頭を下げる一護
「ううん。私こそ、取り乱してごめんなさい…」
「風邪は、もう大丈夫か?ごめんな、俺のせいで…」
「もう平気。すぐ治ったから」
良かった、と一護の表情は少し和らいだ
「…平子に言われたんだ。俺に紫苑は無理だって」
「ほぉ」
夜一が興味深そうに一護を見る
「本気になる前にやめとけって」
「そう…平子隊長が…」
紫苑は卓袱台の下で夜一の洋服の裾を掴んだ
「でも俺、やっぱり紫苑が好きで…そんな簡単に諦められねぇんだ…だから」
一護は膝の上の拳に力を入れた
「だから、まだ…お前のこと、好きで居ていいか?」
紫苑は驚き、戸惑いの表情を見せた
夜一の裾を掴む力が強まる
「えっと…」
「本当に、勝手だけど…好きで居させてほしいんだ」
「ぁ……………うん」
正直いうと、良くわからなかった
良いも、嫌だも…なにか違う
こういうときってどうしたらいいんだろう…
「ありがとう!紫苑!」
黒崎くんの顔がパッと明るくなって、これで良かったのかな…
「じゃあ俺行くわ、浦原さんによろしく」
「気をつけるんじゃぞ」
黒崎くんを見送ったあと、夜一さんは私の前に座った
「大丈夫か?紫苑」
「はい。隣に居てくれてありがとうございます」
夜一はフッと優しく笑うと、座布団を並べて横になった
「そんなところで寝ると風邪ひきますよ、夜一さん」