第55章 俺と付き合ってくれねぇか?
「教えてくれよ。なんか悪いことしちまったみてぇで、モヤモヤするんだ」
「紫苑なァ…、昔男に襲われたことあんねん」
「…は?」
「酷いことされる前に喜助が駆けつけたんやけど、それから紫苑、男に触られることに酷く怯えるようになってん」
だから、俺に触られて…?
「俺もそんときは拒絶されたわ…あん時は紫苑ンこと好きやったから、そらキツかったで」
「今は、紫苑は平子のこと平気なのかよ」
「まァ…喜助のおかげでな」
一護はあの時紫苑を抱き寄せた手を、見つめていた
どうしたら、俺のことも平気になってくれるんだ…
「それより一護、お前そんなことして喜助に何もされてへんのか?」
「何もって…あれから紫苑にも浦原さんにも会ってねぇから、特に何もないけどよ」
すると平子は驚いて目を見開いた
「それならエェけど、気ィつけろや。紫苑のこと襲った男、喜助にヤバイことされたらしいからなァ」
「や、やばいことってなんだよ!」
「知らんけど、噂では記憶消されたらしいで」
「なんかすげー恐ろしいワードなんだけど…」
自分ももしかしたら記憶を消されてしまうのだろうか…
紫苑のことを忘れる?
あの人ならやりそうだ
それだけは避けたい
どうすればいい…
「俺、紫苑と浦原さんに謝ってきたほうがいいのかな…」
「今は止めとき」
「なんでだよ」
「紫苑風邪ぶり返してんねん。今行ったら喜助に殺されるかもしれんで」
風邪…もしかしたらあの時、雨の中走っていったから…
益々罪悪感が心を支配する
「紫苑が元気になったら、教えてくれ…」
一護はバッグを担ぎなおし、平子に背を向けた
「おー」
そこで一護と平子は別れた