第55章 俺と付き合ってくれねぇか?
怒られるようなことをしたのか、彼は
ボクの大事な紫苑に
紫苑は唇をきゅっと噛んで、また呟くように話し始めた
「告白されて…抱き締められたの……っ」
紫苑は膝の上で作った握りこぶしに力を入れて、身体を震わせた
「怖かった……声が出せなくて…、苦しくて…気づいてくれた黒崎くんが少し離れた時に、私…一目散に逃げた」
声が震えている
身体が震えている
目が潤んできている
「そしたら喜助さんにぶつかって…私、凄く安心したの…あぁ、もう大丈夫だって…」
あの時、まるで糸が切れたように泣き出した紫苑
無理もない
実際は100年以上前のことでも、100年間眠っていた紫苑にとってはつい数年前の出来事なのだ
自分が紫苑を安心させてあげられる存在だということに、さっきまでの黒崎サンへの怒りが急速に縮まっていくのを感じた
「黒崎くんは悪くないのっ…私の事情なんか知らないんだから…だから、黒崎くんのこと…」
「大丈夫だから、安心して…」
喜助は紫苑が落ち着くまで、頭を撫でていた
…─
「よォ、紫苑に告白したんやって?」
学校からの帰り道
ケイゴや水色とも別れて1人になった道角で、声をかけられた
「情報早ぇのな…」
なんだお前か、と言うように息を吐いた
「フラれたよ」
「ま、そらそーやろな」
「冷てぇな。もっと慰めるとかねぇのかよ…」
はァ?という声が聞こえてきそうな顔をしてる
「告白して…抱き締めたんだ…そしたら段々様子がおかしくなって、震えだして…」
「あーそらアカンわ」
一護が驚いた顔で平子を見る
「なんだよ…何が駄目だったんだよ…」