第54章 本気になる前にやめとき
結婚…の予定
王印事件の前に、それっぽい話の雰囲気になったことはあるけど…結局そのまま、事件があったのもあって特に進展はなかった
「じゃあきっとタイミングをはかってるんじゃないですか?」
「男の人って、どういう時に結婚したいとか思うのかな…」
「そこで!これ、乱菊さんに借りた本に書いてあったんですけど」
勇音が持っていたのは、現世の結婚事情がのっている雑誌だった
勇音がパラパラとページをめくると、丁寧に折印があるところで止まった
「家庭的な一面を見た時…」
「これは紫苑さん、良くお料理作ってましたから大丈夫ですね!」
「体調が悪いときに、優しく看病してくれた時」
「看病してくれた時…喜助さんほんと体調崩さないんだよね。むしろ私が看病してもらってばっかだし」
「良く無理してるように見えますけど、すごいですね」
「子供と遊んでいるところを見た時」
「お子さんと遊んだりしますか?」
「うーん、ジン太君と雨ちゃんとは遊んだりするけど、それ以外では子供と関わることがないかな?」
「しばらく会えないとき」
「んーこれは、この本が言ってるのは仕事が忙しくて会えなかったり、一緒に住んでいなかったりの場合だよね?」
「紫苑さんと浦原さんは、いろいろあって離れてる時間が長かったですけど、昔から一緒に住んでますもんね」
「彼女に会うと元気が出る」
「これはバッチリですよね?」
「そ、そうかなぁっ…」
「紫苑さんと居るときの浦原さん、いつも幸せそうな顔されてますよ」
「ほ、ほんとに?」
「ほんとですよ。昔から見てるので色々と気づきますよ」
「ちょ、なんか恥ずかしいからやめて…」
赤くなる紫苑をからかいながら、勇音はページをめくる
「紫苑さん!見てみて!凄くないですか?この薔薇」
「素敵…」
ページをめくったそこには、真っ赤な赤い薔薇の大きな花束が載っていた
「紫苑さん、薔薇って本数で意味が変わるんですって」
「そうなの?」
「ほらここ!」
108本の薔薇…結婚してください
と書かれていた
「いいなぁ…」
「こんなの貰ってみたいですね」
その後も雑誌を議題に、キャッキャと二人は盛り上がっていた