第54章 本気になる前にやめとき
第54章 本気になる前にやめとき
「どうしよう…勢いで来たのは良いものの、私浦原商店の場所知らないんだった…誰かに聞いてくればよかった…あーもぅどうしよう…」
空座町の某所
右往左往する死神が一人
そうだ、紫苑さんか浦原さんの霊圧探って…
「あれ、アンタ確か四番隊の…?」
「黒崎さんじゃないですか!良かったぁ知ってる人に出会えて」
一護は必死に名前を思い出そうとする
「あ、四番隊副隊長の虎徹勇音です」
「あぁ、ちゃんと話したことはあんまり無かったよな。黒崎一護だ、よろしく」
お互いに握手を交わした
「それで、なんでこんなとこウロウロしてんだ?」
「あ、えっと…浦原商店に行きたいんですけど…道がわからなくて」
一護は目を大きくした
「浦原商店ならすぐ近くだから、案内するぜ。俺も丁度行くところだし」
「あ、ありがとうございます!」
一護は勇音と共に歩きだした
「それで、浦原商店に何の用なんだ?四番隊が現世に来ること自体珍しいし」
「あ、仕事じゃないんですけど…えっと、卯ノ花隊長に紫苑さんが体調が悪いって聞いて、居ても立っても居られなくて…それで、様子を見に…」
「…紫苑と仲良いのか?」
勇音と接点が少なかったからか、紫苑と一緒に居る姿をほとんど見たことがなかった
「はい、紫苑さんが尸魂界に居た頃は、看護の担当でもありました」
「へぇ…」
一護の言った通り、すぐにわかりやすい浦原商店という看板のある店にたどり着いた
「なんや一護やんけ」
「平子」
反対側の道から平子が姿を見せる
彼も丁度浦原商店に着いた頃らしい
「おー珍しいなァ。紫苑の見舞いか?」
「はい!場所が分からなくて黒崎さんに連れてきてもらったんです」
「紫苑喜ぶやろな。中入り」
まるで自分の家かのように、商店の入り口を開ける
「喜助ー!客やでー」
数秒遅れて奥から返事が聞こえた
「ハイハーイ」
足早に廊下を走る音がする
続いて中に入ろうとした一護の腕を、平子が掴んだ
「あっ!おい、何すんだよ」
「お前はこっちや」
そのまま腕を引き、商店の表へと舞い戻った