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With me

第53章  私を忘れないで…



「寒かったんスかね…」


羽織を纏って寝ている姿が愛おしい

だけど、良く見ると頬は赤く辛そうに呼吸している

食事も手付かずだ


「熱上がってきたみたいっスね…」


喜助は紫苑の額にそっと手をのせた


「あつ…」

「ん……」


紫苑はかろうじて片目を細く開けた


「ごめん、起こしちゃった?」

「…ん…喜助さん」

「色々と、疲れたんスね」


琴乃サンのこと、過去にいったこと

紫苑の心の安定を壊すには、充分すぎる要因だ


「…気持ちいい」


喜助のひんやりした手が頬を冷ます


息を吸い込んだ時、紫苑は激しく咳き込んだ


「ゲホッ…ゲホッ…」

「大丈夫…?」


心配そうに喜助は紫苑の背中をさする


「ありがと…」


喜助は紫苑の手を握ると、布団に潜り込んだ


「風邪、うつっちゃうよ…」

「紫苑の風邪なら大歓迎っスよ」

「大歓迎って…」

「紫苑が辛そうなのを見てるのは辛い…。だからボクにうつして楽になれば良いのに」

「そしたら喜助さんが辛いでしょ…。それはやだな…」


喜助は紫苑の頭を撫でて、包み込むように抱き締めた


「紫苑、愛してる」

「…どうしたの?急に」


突然の愛の言葉に何かあったのかと、少し不安になる


「ずっとボクの紫苑でいて」

「ずっと一緒にいるよ…」


喜助は紫苑をぎゅっと抱き締めると、紫苑は眠りに落ちた


そうだ

ねぇ、喜助さんの初恋って…


そう呟いて…


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