第52章 今、誰の隣に居ますか?
「そりゃ、浦原さんと違って俺にはそんな頭脳は無ぇけど…でも、じっと待ってるなんてやっぱり無理だ!まだ霊力も完全には消えてねぇ…何か、俺にできることはねぇか?!」
適当にあしらわれると思っていた
アナタに何ができるんスかって
返事は思っていたのと真逆で
「では、ひとつ頼まれてくれますか?」
そうして俺は、浦原さんの頼みごとを聞いた
…─
「そんでバイトしてんのか」
「平子たちは頼まれたのか?」
「まぁなァ。ひよ里もたまに来とるみたいやで。喜助が居らん間だけならえぇで…って」
琴乃は商店に上がるなり、もうすっかり慣れた手付きで台所に立つ
「まァ喜助としては、紫苑に気ィあるお前に関わらせるのは嫌やったんやろ。アイツ昔から独占欲強かったしなァ」
「気あるなんて…っ、俺んなことひとっ言も!」
「あァ?今更照れてんのか。見てたら分かるで」
その時台所から琴乃が顔を出した
「真子ー、おせちの残りでいいー?うどんかラーメンでも茹でようか?」
「餅があんなら何でもえぇでー」
りょーかい、と琴乃は再び台所に向かった
「あ、一護の分も作るから安心してね」
「あ、あぁ…サンキュー」
ぎこちない2人
でも琴乃は割りとすぐ誰とでも仲良ォなってしまうからなァ…
「アイツ、料理できんのか?」
「アイツやて?コラ」
「す、すんません!」
意に反して出た鬼瓦に、想像以上に一護がビビる
「琴乃は紫苑の家の使用人やったから、料理は紫苑より上手いで」
「そういや琴乃は、紫苑の親友なんだよな」
きっと琴乃だって辛いはずなのに、あんなに明るく振る舞って…
「大丈夫。浦原さんが絶対見つけてくれるから」
「せやなァ」
「だから信じて待とうね!」
おせちの残りともち入りのお雑煮を食べながら、向かいに隣同士で座る平子と琴乃を見つめる一護
「なんやねん…」
「いや、本当に付き合ってるんだなぁと思って」
「手出すなや。俺のやねんから」
「だ、出さねぇよ!てかそれさっきも聞いたよ」