第52章 今、誰の隣に居ますか?
現世─
「今日は夜一さんの誕生日だね!」
雨が夜一の分のケーキを持ってくる
「店長と夜一さんは誕生日が1日違いですのでな、昔夜一さんのお屋敷にお世話になっていた頃、毎年夜通し宴会に付き合わされましたぞ」
「懐かしいのぉ」
「アタシのは夜一サンの、前夜祭みたいなものでしたけど」
本当は夜が明けたらすぐに尸魂界に行って、紫苑を探すつもりだった
けど、子供たちの寂しそうな顔を見ると、もう少しだけ、と良心が働いた
「そう言えば昔、一度だけ喜助が断った時がなかったか?」
「…ありましたっけ?」
「ん~さすがに100年もたつと記憶が曖昧じゃの…」
ほんの少し
本当に少し
違和感を感じた
それがなんなのか、結局分からずにモヤモヤが残るだけだった
…─
「…なんで一護が居るんや?」
ダルそうに、さっきから気になっていた張本人に声をかけた
浦原商店にバイトに来た平子は、店に入るなり掃除に励む一護の姿に驚き、しばらくそれを凝視していた
「おぅ平子か。傷はもう大丈夫なのか?お前も此処でバイトしてんのか?」
「お前もって…お前もかいな」
その時平子の背中からひょこっと顔を出した女が、一護を見つめる
「あ、お前…」
「東雲琴乃です!あの時は色々とご迷惑かけました」
王印事件以来、一護が琴乃に会うのは初めてだった
色々と話しは聞いていたが、事件の間は基本的に敵だったし、まともに話すのは初めてだ
「改めてよろしくね!一護!」
差し出された手を反射的に掴もうとした
「あぁ、よろしく…っ!」
「せんでえぇで」
平子は一護の右手を蹴り飛ばしていた
「なにすんだよ平子!」
「俺のやねんから、触んなや」
「スンマセン」
「んで、お前も喜助に頼まれたんか?」
「頼まれたって…あぁ、バイトか。嫌、俺は…」
…─
年が明けて2日、一護は浦原商店で頭を下げていた
「お願いだ浦原さん!俺にも何か手伝わせてくれ!」
新年の挨拶も早々に、一護は本題に入った