第8章 デートしてくれませんか?
「せっかくやってもらったのに…すみません…」
「紫苑サンが謝ることじゃない」
「あの…なおせますか?」
「貸してごらん」
少しだけ時間くださいね、と喜助は写真をしまった
「あぁそれと、タダって訳には…」
下を向いている紫苑は気づかないだろう、喜助は薄くニヤリと笑ったようにみえる
「あっ!そうですよね。すみません…おいくらですか?」
「んーそうっスねー。じゃあ1回だけ…」
「1回?」
「ボクとデートしてくれませんか?」
あれ?反応がない?
「紫苑サーン?」
「え!?デデ、デート?ですか?」
顔を赤くする紫苑が可愛くて、喜助はクスクスと笑う
「嫌ならこのお願いは聞けないっスね~残念」
「い、行きます!お願いします!」
可愛くてたまらない
苛めたくなる
「では27日あけておいてくださいね。あぁ、あと20日も。仕事のほうはボクが休みにしておくんで」
紫苑は急いでメモをとる
「じゃあボク仕事に戻りますんで」
「はい、ありがとうございました!」
背中を向けながらヒラヒラと手を振る喜助に、反射的に紫苑も手を振る
喜助が見えなくなったのを確認して自室に戻る
「えぇと…27と20……って…」
1回じゃなくて2回じゃん…!
ドキドキと紫苑の心臓は鼓動を始めた
浦原隊長と、デート…
デート…
デー…
「紫苑いる!?」
「ひぃやぁっっ!」
襖が思い切り開く
そこには琴乃が立っていた
「なに変な声出してるの?」
「な、なんでもないよ…」
「退院したって聞いたから、顔見たくて会いにきちゃった」
可愛いこと言ってくれるなぁ
「仕事サボってまで来なくていいのに」
「休憩時間なのっ」
「琴乃、いろいろありがとうね。明日から復帰するから」
よかった~と言いながら紫苑の横に座り込む
「ん…27…?20?…なにこれ?」
「あっ!そ、それは…」
「教えてくれるよね?」
とびきりの笑顔で迫ってくる琴乃に、紫苑は諦めるしかなかった