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With me

第1章 この子どこかで…



「縛道の三十九 円閘扇!」


咄嗟に詠唱破棄して出した琴乃の鬼道はもろく、工藤の攻撃を防ぎはしたもののすぐに崩れさってしまった

攻撃を塞がれた工藤は半歩後ろに引き、再び琴乃をにらみつけた


「死ねぇぇぇ!」


殺されるっ──!!

琴乃は反射的に目を瞑った

死を……覚悟した


「啼け!紅姫!」


赤い光が琴乃たちの後ろからきて、工藤を、虚を襲った

琴乃はぎゅっと瞑っていた目をゆっくり開いた

そこには元の姿に戻った工藤がいた


「く、苦しい苦しいクルシイッッッ!!」


すると工藤の口から黒いモヤのようなものが飛び出した


「逃げろ逃げろニゲロッッ」

「逃がすと思いますか」


その人がもう一度刀を振るうと赤い斬撃が黒いモヤを真っ二つにした


「ギィィヤァァァッッッ!!」


そして虚はゆらゆらと消えていった


「あ、あなたは…」

「大丈夫ですか?」


琴乃の元に駆け寄り、その腕の中の紫苑を見た

ドクン

心臓が大きく跳ねた

電流が流れる感覚

鼓動が早くなる


「私は大丈夫…です」


その言葉で我に返った喜助は、改めて傷の具合を見た


「…ひどい傷だ…内臓のいくつもが損傷している」


紫苑の傷口を押さえる琴乃の手は、ながれでる血で赤く染まっていた


「お願いします!紫苑を、紫苑を助けて!!」

「大丈夫。四番隊を既に呼んであります。絶対死なせない」


そう言いながら紫苑の体に鬼道のようなものをかけはじめた


紫苑…

なんでだろう…懐かしい…


「あなたは…十二番隊の、浦原隊長…ですか?」

「ボクのこと知ってくれてるんスね」


その時、目の前にいた工藤が身をよじった

琴乃は警戒して、紫苑を守るように強く抱き締めた


「紫苑…さま…っ」

「工藤…さん」


喜助のおかげでほんの少しだけ、紫苑は意識を取り戻した


「…すみません…僕の…せいで、紫苑さまを…」


正気に戻ったみたいだと紫苑と琴乃は肩をおとした

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