• テキストサイズ

With me

第52章  今、誰の隣に居ますか?



雪の降る日だった

特別な日なのに

どうして貴方は私の隣に居ないの?








過去に来てから二週間ぐらいたった


「只今戻りました」

「お帰りなさいっ」


部屋に入るなり喜助は目を丸くした


「どうしたんスか…この料理」

「今日誕生日でしょ?」


卓袱台の上にはいつもよりも豪華に、今の喜助の好みだがご馳走が並んでいた


「ボクのために、作ってくれたんスか…」


本当は毎年、誕生日が1日違いの夜一サンのお屋敷で、お互い祝い合っていた


だけど今年は、紫苑サンが部屋に居ることが気になって…というより、紫苑サンに会いたくて断ってきた


別に紫苑サンに祝ってもらえる確証もないのに


紫苑サンが本当に祝いたいのは、未来のボクだろうから


「嬉しいっス…ありがとう…」


照れながら言う言葉に、紫苑からも自然と笑みが溢れた


「やっと、笑ったっスね…」

「え?」


笑ってなかったかな?

そう言い終わる前に、喜助さんに強く抱き締められた


「喜助…さん…」

「未来に帰したくないっス…」


その気持ちは、抱き締める腕の強さから痛い程伝わってきた


お願い行かないで

ボクを変わりにしていいから

いくらでも、同じことをしてあげるから


「ずっと此処に居て欲しい」


あんな笑顔を、ボク以外に見せないで欲しい

隣で笑っていて欲しい


「なんて!こんなこと言ったら、紫苑サン困っちゃいますよね」


もう一度ぎゅっと力を入れてから、喜助はそっと離れた


胸がドキドキした

浮気…にならないよね?

だって今目の前にいるこの人も、喜助さんだもん…


さ、食べましょ


と話題を変えてくれる喜助さんの横で、心臓がしばらく鳴りやまなかった

/ 761ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp