第52章 今、誰の隣に居ますか?
喜助がのぅ…
さすがの儂も気にはなる
確かに最近仕事が終わると帰るのが早い
一体どんな…
…─
琴乃、大丈夫だったかな…
平子隊長も重傷だし…
喜助さんと、きっと卯ノ花隊長とか勇音さんも居ただろうから、大丈夫だと思うけど
悪いようにされてないといいけど
次会えたら、どんな顔して会えば…
何を話せば良いのか…
私のこと、ちゃんと思い出してくれた?
琴乃…
「紫苑サン。布団、買ってきましたよン」
「あ、ありがとう!重かったでしょう?」
「いえいえこれくらい」
真新しい布団に、気持ち良さそうに顔を埋める紫苑サン
綺麗な布団も悪くないっスね…
「ご飯作ってくれてたんスか」
「これくらいしか、できることないから」
仕上げちゃうね、と
会った頃は敬語だったのに、だんだんとくだけてきた
きっと未来のボクと、こんな風に話しているんだろう
なんスかこの気持ち…
胸が詰まるというか、息が詰まるというか
未来の自分てなんなんスか…
…─
夜になって喜助さんが買ってきてくれた布団を敷いた
…ねぇ、これって…一緒の部屋で寝るってことだよね?
いや、そりゃ喜助さんとは数えきれないくらい一緒に寝てきたけど、でもそれは未来?現在?であって、今この部屋にいる喜助さんとはその、初めてというか…
もちろん布団が二組あるわけだから、それぞれで寝るんだろうけど、なんていうか、いいのかな…
喜助さんは、喜助さん…だよね?
「おやすみ、紫苑サン」
「お、おやすみなさい」
疲れていたのか、すぐに眠りに落ちる喜助さん
眠っている姿は、なんか本当に普通に喜助さんで、今までのこと全部夢だったんじゃないかなって、頬をつねってみたけど痛いだけだった
喜助さん…
小さな誰にも聞こえないような呟き
投げ出された喜助さんの手に、自然と自分の手が伸びてた
目を閉じて、手に触れさせて貰えば、喜助さんだと思って寝られるかな…
なんて酷いことを考えてたら、やっぱりできなかった
引っ込めた手を自分で包み込んだ