第52章 今、誰の隣に居ますか?
「私此処に居ていいのかなとか…」
「ほんで?」
「…真子って…」
そこで言葉に詰まった琴乃
一度鼻をすすって、続きを話し始めた
「真子って…恋人いる?結婚とかしてる?」
「お前…」
「私のことってもう…」
そこでなんやふにゃふにゃした顔ンなって
「好きじゃないよね…」
湿っぽいの苦手な琴乃が珍し
いっつもはぐらかすか得意のツンデレかまして…
そら不安にもなるか
いや俺やって、普通に接しとるつもりやけど、なんとなくぎこちないちゅーか、違和感ちゅーか
当たり前やろ?
100年ぶりやで?
ちゅーか死んだと思ってたんやで?
緊張せぇへんほうが可笑しいって
ほんでどうしていいか分からんくて、雑誌読んどったけど一切頭に入ってこんかった
「琴乃、顔上げ」
「や、やだ…」
「いーから」
目をうろうろさせながらゆっくりと顔を上げた琴乃を確認して、その目をまっすぐ見て言った
「お前が居なくなって100年…一度もお前を忘れたことなんてあらへん。そりゃいきなり戻ってきて戸惑うけどな」
忘れたことがない…
その言葉に琴乃の目が輝いた
「好きやで、琴乃」
自分でもびっくりするくらい、優しい顔しとる気がする
「また俺と一緒に居ってくれるか?」
「…いいの?」
また泣きそうな顔しよって…もう泣いてるか
真子は琴乃を引き寄せた
「当たり前やボケ。俺がどんだけ会いたかったか…」
抱き締める腕の力から、想いが伝わってくる
「真子ぃ~…っ」
「あ、こら俺の服で拭くなやっ」
「だってぇ…」
「また居なくなったりしたら許さへんからな」
「うん!」
あ、また髪伸ばしたら?
…考えとくわ
…─
ヒソヒソ
ヒソヒソ
二番隊のまだ数字も貰ってないような女の隊員たちか
嫌でも耳に入ってくるのぅ
『聞いた?浦原三席が女と住み始めたって』
『うそ!?…そういえば私の友達が最近付き合いが悪いって言ってたかも…』
『でもあの浦原三席が、特定の人作る?』
『だけど街で布団を二組買ってたって!』
『なんで二組?あの人なら一緒に寝るだろうから一組でも良いんじゃ…』
『ていうか何処の女?』