第52章 今、誰の隣に居ますか?
喜助にしばらく店を空けたいから、手伝ってほしい…と頭を下げられたときは、驚いた
他にも何人か声をかけたようで、日替わりであるばいととやらが来ておる
「まだ、見つからないんですね…」
想い人の想い人…だろう紫苑
恋敵…と言うのだろうか…だからって、でもやっぱり心配で結局また此処に来てしまった
「どこに行ってしまったんじゃろうな…」
浦原商店のメンバーは、みんなどこか元気なくて、自分も何か力になれればと思ったけど…
もしかしたら私の力で西園寺さんが消えたことをなかったことにできるかも、と考えたけど欠片も何も無く、本人がそっくり消えてしまったから、どうやったらいいかも分からない
一応やってみたものの、空振りに終わった
「違う次元…って」
「儂もさっぱりじゃ。こういうのはやはり喜助の得意分野じゃろうな」
「やっぱり凄いですね!浦原さんは」
「さっさと見つけてこんかのぅ」
「私に何かできることがあったら、なんでも言ってくださいね!」
外を見るとチラチラと雪が降ってきていた
「西園寺さん、寒がってないといいけど」
「これから強まるみたいじゃ。酷くなる前に帰ったほうが良いぞ」
「そうですね、お邪魔しました」
…─
技術開発局─
「全く、一死神のために何故、此処を貸してやらなければいけないのかネ」
「しかも勝手にシステムを書き換えているときた。本当にイライラするネ」
「でもこっちのほうが俺は使いやすいと思いますよ」
「黙れ阿近。その脳ミソ取り出して作り替えてあげようかネ?」
喜助の頭の上で覗き込む顔が二つ
当の本人の耳には右から左だ
喜助は慣れた手付きでキーボードを叩き続ける
思い付く限りの空間の霊波数値なんかを調べているらしい